信じてほしいなら、

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「……悪かったよ」 「なにが? どのことを謝ってんの?」  アンタがしてきたこと、どれを謝ってんの?前に人の失恋の傷を抉るようなことを言ったこと?無理やりキスしたこと?3日前のこと?もっと沢山ある。どのことよ。  そうと問いかけて睨みつけると、南は、全部、と少しだけ小さな声で呟いた。  全部?笑わせないでよ。たった一言で許されると思ってんの?バッカじゃない。  言いたいことがありすぎて言葉にならなくて、唇を噛み締めて睨みつけていると、南はガラスに置いていた手を離して、あたしの方に向き直った。真っ直ぐ見て、口を開く。 「……マジで、悪いことしたと思ってる。無神経なこともすげー言ったと思うし」 「…………」 「何度だって謝る。だから……だから代わりにってわけじゃねーけど……前に言ったこと、ちゃんと信じて欲しい。バカになんかしてねーよ。遊びなんかじゃねーし……つーか、遊びでこんなこと言えねーから」 「信じろって……ふざけないでよ。いまさら、何都合のいいこと言ってんの? アンタの言葉なんて信用出来ない」  視線を逸らしたら、なんだか負けのような気がして、睨みつけたままそう返事をした。  南はあたしの言葉を聞いて、また傷ついたような顔をする。なによ、その顔。アンタなんかより、あたしの方が何倍も、何倍も、アンタに傷つけられた。  南は右手で前髪を、くしゃりと軽く握ってから、何か言葉にならない小さな声を出す。それから、右手を離すと視線をあたしに向ける。
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