信じてほしいなら、

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「じゃあ、どうしたらいいんだよ。頭ごなしに信用出来ないって言われても、どうすりゃいいかわかんねーし」 「なんなの、その言い方。逆ギレ? サイアク!」 「うるせーよ! ……こっちだって必死なんだ! 信じろって言っても信じられないの一点張りで、やったことを無かったことになんか出来ねーし。どうすれば信じてくれんのか言ってくんねーとわかんねーよ!」 「はあ? そんなの自分で考えることでしょ! そんなだから信用出来ないっつってんの! 本気だ、遊びじゃない、からかってない、なんて口じゃなんだって言えるってこともわかんないの!? バッカじゃない! 勉強ばっかやって人の気持ちなんて考えられない頭になってんじゃない?」 「んだと! こっちが下手に出てやったら調子に乗りやがって! 人の気持ち考えらんねーってお前に言われたかねーよ! こっちがプライド捨てて謝ってやってんのに! なんだよ、その言い草は!!」 「そのお高いプライド捨ててまで謝って欲しいなんてたのんでませんけど? そっちが勝手に謝ってるだけじゃない! そんなに謝るのが嫌なら、さっさと諦めたら? その方があたしも清々するし!」 「ほんっとかわいくねーな! 諦められんならこっちだってお前みてーな意地っ張りで可愛げのねー女に頭下げて、こんなダセーことしたかねーよ!!」 「はあ?! アンタにかわいいなんて思われたくないし!! なんなの!? そんなに嫌なら、ほっとけばいいじゃない!!」 「うるせー!! 好きになったんだから仕方ねーだろ!! ほっとけるかよ!!」  訳がわからないまま始まった怒鳴り合いは、南の言葉で止まる。  少しだけ早くなった呼吸が少し苦しい。南は自分が言ったことを遅れて認識したのか、サッと視線を逸らすと、少し赤い顔でバツの悪そうな表情を作った。  なんとなく沈黙が続いて、気まずい。  ゲーセンの中は機械の音とかスピーカーから大音量で音楽が流れ出していたから、あたし達の言い争いを聞いていたのは近くを通ったカップルくらい。  目を伏せて、足元辺りを見ていると、黙っていた南が咳払いをしてから、口を開く。
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