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「……さっき、一緒にいた奴、なんなんだよ」
「は?」
「だから、さっき! ……なんかサルみてーな奴、一緒にプリクラ撮ってただろ」
「……見てたの? ストーカー? キモイ」
「うっせーよ! 見えたんだよ! 誰がてめーなんか好き好んで付回すかよ!」
「好きなんだから仕方ねーだろって叫んだのはどこのどなたでしたっけ」
「……ムカつく」
南は憎らしげに舌打ちをすると、視線を足元へ向ける。なんなの、コイツの態度。言ったことと行動が一致してないんだけど。
足元に向けていた視線を上げて、向かい側にいる南を睨む。
「別になんでもないし。ていうか、アンタには関係ないでしょ、あたしが誰と何しようと」
そう言うと南は顔を上げて、右手で襟足辺りを、くしゃりと掴んだ。そうだけどと不服そうな顔で呟く。
それからまた沈黙。がやがや騒がしいゲーセンの隅で、なんであたしはコイツと向かい合って立ってんの。
ちらり、と視線を上げて南を見ると、南は気まずそうな顔で、さらさら揺れる髪をかき混ぜていた。
「……あんたさ」
「なんだよ」
「こういうこと、あたし以外に何人に言ってんの」
「はあ? ……お前以外言ってねーよ」
「どうだか」
「言ってねえっつってんだろ。なんで信じねーんだよ」
「アンタのどこを信用しろっていうの?」
キッと睨んで、そう問いかけると南は口籠る。ほら、言えない。アンタの信用に足るとこなんてないんだから。不誠実が服着て歩いているようなアンタなんか信じられない。
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