運命の出会い?バッカじゃないの。

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 キッと睨んで視線で「ほっといて!」なんて訴えかけて。返事はせずにソイツを避けて、家に帰ろうとした。顔を上げてから思い出す。あ、あたしの顔今やばいんだった。メイクが落ちてひどい顔してる。  ああ、もう、最悪。  みっともない自分にさらに泣けてくる。また泣きそうになったから、少し急いで足を動かして、前にいる泣きボクロのソイツの横を通り過ぎようとした。けど、出来なかった。ソイツがあたしの腕を掴んだから。  なんなの?新手の痴漢?お坊ちゃん学校に通ってるくせに変なことしてんじゃないわよ。掴まれた腕を見た後、睨みつけてやったら泣きボクロのソイツは、にっこり笑ってこう言った。 「ねえ、名前なんていうの? 俺、南、南陽司(みなみようじ)。ヒマなら今からカラオケでもいかねえ? ダメならアドレス教えて」  ナンパされた。  にこにこ笑ってあたしの腕を掴む泣きボクロに不愉快レベルが最高潮に達する。ヒマに見えるか、このナンパ男が!例えヒマでもあんたと付き合う時間なんてねえよ!誰があんたなんかに教えるか!  掴まれた腕を振り払って、色んな意味をひっくるめて。一言だけ返事をする。 「嫌!」  ギロリと睨んでやってから今度こそ足早にソイツの横を通って家に向った。早足というよりすでに走っていた。好きで好きで、今までにこんなに好きになった男はいないんじゃないかってくらい好きな相手に振られた上に変な男にナンパされる。  ねえ、神様。もう少しあたしに気を使ってくれてもいいんじゃない?
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