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そんな中、隣の席のバカも同じように残って、机にかじりついて勉強をしていた。
今更やってもどうせ出来ないくせに、なにを焦ってんだか。基本中の基本の問題を、わかんねー!と叫ぶバカ、岡本由貴。なんであたし、こんなやつが好きなんだろうとつくづく思う。
「えー? んだよ、この問題! なんだこのビックリマークは! どこでこんな記号使うんだよ!」
確率で使うんだよ、バカ。
数学の教科書に、そんなに顔近づけたら逆に見えにくくない?ってくらい顔を近づけて唸っているバカ。たまに教えてほしそうに、チラチラ見てくるけど、気付いてないふり。
あたしの近くの席に移動してきた麻美と梨佳4が、あたしと岡本を見比べて、ニヤニヤ笑ってる。なに笑ってんのよ。2人に、ほら、さっさとやんなよと一喝して、視線を教科書に強制的に向けさせた。
チラリ、と横目で岡本を見ると、机の上に教科書を開いたまま置いて、その上に顔を伏せていた。なにやってんの、アンタ。「うーわかんねーわかんねーアイドントアンダースタンドー」と唸っている岡本。ホントバカ。
「……どうせやってもわかんないんだから、さっさと諦めて帰れば?」
「うわー、ヒッドイこと言いますわね、あなた! 確かカクシンをついてますけど! それは禁句でしょーよ!」
ほっとけ、必要以上に相手にしちゃだめだ。そう思う心を裏切って、話しかけてしまう。
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