女々しいヤツって嫌い。だから、あたしはあたしが嫌い。

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 岡本はあたしの言葉に、頬を教科書につけたまま、こっちを見て返事をする。むっと少し怒ったような表情を見せた後、にへへっとなんでか気の抜けるような笑顔を見せる。 「キモイ顔を見せんな」 「ひでえ!! キモイとか言うなってーの。ボクのガラスのハートはブロークンハートですよ!」 「うっざ」  体を起こして、ふざけた笑いを見せながら、話しかけてくる岡本にいつものように、トモダチのあたしで冷たく接する。ひでえ、なんて言いながらそれが本気で言ってないってわかってるから、岡本は楽しそうに笑ってる。まぶしい、なんて。  岡本は椅子に浅く座って、背もたれに体を預けながら、手に持っている数学の教科書を眺めた後、ポイとその教科書を机の上に放り投げた。パタン、と教科書が机の上に落ちる。 「あー、もうダメだ。わかんね」  もうE組でいい、とだるそうに呟く。E組は3年の文系クラスで1番成が低いクラス。予想通りの行動。そう、あんたはE組でバカやってりゃいいのよ。  あたしはもう1つ上のクラスで、あんたと離れなきゃいけないんだから。  そんな岡本の姿を横目で見ていると、あたしの視線に気付いた岡本が、こっちを見て、にへらと笑った。バカ丸出しの、子どもみたいに無邪気な笑い方をする。
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