女々しいヤツって嫌い。だから、あたしはあたしが嫌い。

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「片岡チャンは調子どうよ? 絶好調? 俺、絶不調ー」 「絶好調も絶好調よ。あんたとは出来が違うから」 「すげえ自信! えらいねえー、まあ、片岡チャン一生懸命ベンキョーしてたもんねー」  よかったね、なんて笑って言う岡本。ホントあんた何にもなかったみたいに、前のように、トモダチとして接するのウマイね。普通、ここまで前のように戻れないでしょ。  岡本は机の上に放り投げた教科書をまた手に取ると、パラリと教科書を開いてから、話しかけてくる。 「そっかー……じゃあ、片岡チャンとは3年は違うクラスになんのか」 「まあ、あんたにC組は絶対無理だしね。清々する」 「清々って、さみしーこと言っちゃうのね!」  突き放したようなあたしの言い方に岡本は、ひどいっす!と笑った後、教科書を片手に席を立つ。 「帰んの?」 「んにゃ。藤嶋センセーに教えてもらってくんの。うらやますい?」 「ぜんっぜん」  わからない問題を隣のクラスで残ってる藤嶋竜に聞いてくるつもりらしい。つか、一緒に残ってんなら最初っから隣のクラスに行けばいいのに。まあ、どうせ、藤嶋に「鬱陶しいから来んな」って感じのこと言われたんだと思うけど。  岡本は教科書とシャーペンを一本持つと、バタバタと教室を出て行った。廊下から「竜ちーん!この問題おしーて!」というバカの声が聞こえてくる。でっかい声。  あたしは、岡本はもういないのに、じっとその席を見つめる。  クラス変わるのがサミシイとか言うな。冗談でもそんなこと言うな。  ホントは違うクラスになりたくなんかない気持ちが、グラグラ揺れる。あのバカ、ホントもっとあたしに気を使えっての。
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