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一見、いつも通りのバカな岡本。
いつものように頭の悪そうなことを言ってヘラヘラ笑ってんのに、ふざけてちょっと距離が近付いた途端、一瞬気まずそうな顔をする。そういう仕草に気付くたびに、まだあたしを「自分に気があるオンナノコ」として見ているんだってことがわかる。なんて自信過剰なヤツと思いながらも少し嬉しく思っている自分がいた。
あの子には敵わないけれど、他のオンナノコ達よりも一歩前に自分がいることが嬉しい。ああ、ホント、どうしてくれようか。いっそ目の前からいなくなればいいのに。
自分らしくない消極的な考えに溜息がもれる。あたしはこんなねちねちと失恋を引きずる人間じゃない。岡本がいる前で溜息なんてついたらまた変な気を使われそうだから、岡本が藤嶋のところへ行く昼休みに岡本の席を見ながら、思いっきり深い溜息をついてやった。
お弁当に全く手をつけないままだと後でお母さんがうるさいから、お弁当箱の大きさに合わせて作られた短めの箸で冷凍食品が大半をしめるお弁当をつつく。
お昼は大体友達の野中麻美と内田梨佳の3人で食べてるんだけど、麻美と梨佳の話のタネは岡本の親友らしい2年B組の藤嶋竜。今日の藤嶋くんは格好良かっただの、今日の体育の時間でバスケしてた姿がヤバイ!だの、正直どうでもいい。
麻美と梨佳の話を聞き流しながら、食べる気も無いのに箸を動かしていると、あたしの前の席に座って麻美ママお手製のサンドイッチを食べながら「今日の藤嶋くん」について語っていた麻美が話かけてきた。
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