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「そうそう! てか、あたし的には岡本なんかよりずーっとカッコイイと思うし!」
「麻美」
メールを打ち終わったらしい麻美がにこにこと満面の笑みであたしと梨佳の話に参加してきた。その余計な一言であたしの表情が強張る。ホント……この子は……どうしてこうもあからさまに口にするのか。
小さく溜息をついたあたしに気が付いた梨佳が麻美を少し睨む。さすがの麻美も空気を読んだのか、申し訳無さそうに眉を下げると携帯を口元にあてて、あたしの機嫌を伺うように上目使いで見てきた。
「あ……ごめぇん」
「いいよ、別に謝らなくて」
「うう、ごめーん」
「だから、謝らなくていいって言ってるでしょ」
謝られる方がなんか嫌なんだけど、と言うと麻美はもう一度謝って右手に持っていた携帯を、パチンと閉じた。
「と、とにかく! 失恋を癒すには次の恋ってね! 岡本なんかよりイイ男なんて五万といるんだから! ファイトだ紗英!」
にこにこと笑いながら口を開いた麻美にあたしと梨佳は溜息をついた。言ったそばからまたあからさまに名前を出すな!ここどこだと思ってんの!
会話が聞こえていたらしい周りの女子達が驚いた顔でこっちを見ている。「片岡さんって岡本君のことが好きだったの?」「失恋ってもしかして……」なんてこそこそ言い合っている声が聞こえる。もう……この子には学習能力ってもんがないの?
「あたし、アンタと友達やめたくなったわ」
「ええー!? なんでえー!」
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