第三章・―絆―

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 縞が公園を出たところで振り返る。大して広くない公園で、遊具に興じ遊ぶ子供達に目を細め、ベンチに視線を逸らした。  遠目には分かりにくいが、まだ座っているのは明だろう。傍に歩み寄るのは、やはりスーツ姿の青年。  スーツの色や背格好から判断するに、恐らく令だろうと、縞は身体ごと公園内に向かってその光景を見詰める。  話の内容がどんなものか、明の過去を垣間見た縞も気になったのだが。“傍にいなくて良い”と言われてここまできた手前、今更戻るのはかなり気まずい。  のこのこ戻って咎められでもすれば、縞にとってはやぶ蛇というものだろうと、仕方無く公園を後にしたのだった。
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