第四章・―捜査方針―

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「じゃあ……。何をすれば良い……?」 「……別に。特に何をする予定もないな。だから話をしたいんだ」  このままここに目的もなくいても手持ち無沙汰で、思いきって聞いてみたが、返ってきた答えは、あまり意味のないものだった。 「話……。どんな?」 「聞いて良いなら。冤罪事件の話をきちんと、お前の視点でお前の口から聞きたい」 「な、何で?」 「事件の調書は当時のものを、一応くまなく読んだ。自分なりに調べもした。だが、肝心の、お前からの意見が一つもない。だから教えてくれ。お前が“その時”、一体何をされ、思って、何を言ったのかを」  質問を重ねる明の表情はあくまで真剣そのもので、それに触発された望は思わず頷くと答えたのだった――。
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