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「久し振りだね」
騒がしい署内で、受付を通して目的の相手へと辿り着いた高村は笑みを浮かべながら、開口一番に言った。
相手は少しウェーブがかった白髪混じりの髪をまとめた、細い目の中年男性だった。
少し皺が多い顔立ちと、くたびれた感じの、グレーのスーツに身を包んでいる見た目から、初老のようにも思える。
そんな相手が、疲れた笑みで返しながら応えた。
「高村さん……今は、警視でしょうか。お話、外でしても宜しいですか?」
目をやると、脇にはかなりの枚数でまとめた書類を抱えている。
電話でかいつまんで話をしたし、事前に資料を用意してくれていたのだろうとにこやかに返す。
「ああ。私は話が聞けるなら、何処でだって構わないよ」
「分かりました。では、ついてきて下さい」
それを機に、二人は連れだって署内から出る。
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