第二話・―捻れた絆―

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 それはまだ明にも分からなかったが、少なくともきちんと話を聞くだけの価値はありそうで。  高村が高瀬を説得して、無事本庁まで連れ帰ってくれる事だけを祈る。 「よし、現場検証も一通り終わったし。一旦引き上げるか」  辺りを見回してそう言った明に、令が頷くと、楠本が苦笑いして返す。 「俺はもうちょっと調べて行くよ、気になる事もあるしな」 「頼む。……素子さんは」 「私は検死を本格的に始めないと。一旦大学病院に戻るわ」  明の振りに、素子も頷いてそう答えると、側で控えていた助手に合図して道具を仕舞わせる。  それから明にウインクをすると、優雅な足取りで部屋を出て行ってしまった。
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