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「こら、行くぞ」
「だって…」
どうやらビビっているのに気がついたお父さん。
「今潮は止まってるから、あとは下がるだけ。行くぞ」
そう言って先に歩き出しました。仕方ないのでついて行くのですが、不安はおさまりません。シオというのが海水だろうというのはわかる。それが止まるのがどうしてわかるの?もしかしたら増え続けるかも…頭の中ではお家が半分海の中です。
「なんで海の水はふえるの…」
頭の中でお家が水没しそうになると、がまんできずに聞きました。
お父さんは諦めたのか、空を指さして
「月があるから」
!?
意味不明です!
「月が海の水を引っ張るだけ」
「… … …」
「わかった?」
「… … …」
「月には水がないから地球から水が欲しいんよ。ハハハ!わかった?」
わかる…はずもなく、不安げについて歩くお嬢ちゃん。
もちろん、この時もお酒はお父さんを上機嫌にしていましたけど…。
よくわからないけど、お父さんの予言どおり、お家は竜宮城になりませんでした。
すっかりお父さんを偉大だと勘違いしたお嬢ちゃん。どうやら月が関係しているらしい、というのは予言の成就により信じてしまいました。
そして後々、予言の伝授。
この頃から、インフラトンおやじはあえて娘の前に「不思議」をぶらさげるようになった気がします。
そして、答えは簡単にはくれないのも、インフラトンおやじの特徴でありました。
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