宇宙馬鹿ができたわけ

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 ~インフラトンおやじ3~ [インフラトンの崩壊:例えば中性子は陽子と電子とニュートリノ(反電子ニュートリノ)に崩壊します。この崩壊とは、ある粒子が別な複数の粒子に変わってしまうという意味です。ミクロな宇宙を光速をはるかに越えるスピードで膨脹させたインフラトンも、やがて崩壊し、様々な素粒子を生み出し、今ある宇宙の全ての物質や光などは、このインフラトンの崩壊から生まれたと考えられているようです] 「太陽を追いかける!」   叔父さん、叔母さんの経営する会社を手伝うために田舎に帰った一家。お父さんの会社は水島、という所にありました。お家から少し遠いのです。  日曜日だったと思います。ちょっとお仕事ができて、一緒にお出かけしていたお父さんと宇宙馬鹿。夕方、お家に帰るのにバイクに乗るなり、お父さんがいきなり宣言しました。 「はぁ?」 「ずっと西に行けば太陽は沈まない」 「ずっと夕方ってこと?」 「そ」  お父さんの自慢の250CCのバイクは走り始めました。  …太陽が沈まない…  素直に「そぉなんだ」と思わないお嬢ちゃん。いつものお父さんの最後のオチで、信じる気持ちと懐疑の気持ちが同居するわけです。で、とりあえず検証するんですね。  赤い太陽を見続けました。  赤くても…それなりに眩しいです。  でも、見える限り見ていました。  お家につくまでに何度か山に邪魔されました。そして着いたころは。辺りが暗くなりはじめていました。  なんとなく勝った気分のお嬢ちゃん。 「うそつき」  そうお父さんに言いました。  しかし、お父さんは嬉しそうに笑っています。 「絶対夜になるもん」 「そんなことはない。地球と同じスピードで逆に走れば一日昼間」
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