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時はクリスマス。
11月の時点ですでに飾りを施された街は、いよいよ本番とばかりに鮮やかに色づいていた。
それに加え、折から降り出した雪がその光達をさらにやわらかく、幻想的に変えて、街は一気に盛り上がりを見せるのだった。
「やってらんねー」
そんな言葉を吐く気にもなれなかった。
東京という土地柄、気候的にとても珍しい12月の雪。しかもピンポイントで24日に舞い降りたそれに、人々は皆、一様に色めき立った。
クリスマス自体、異様な盛り上がりがあるというのに、さらに輪をかけ盛り上がる街。
楽しそうに歩く家族連れの微笑ましい光景でさえ、独り者には目の毒でしかなかった。
俺にも、クリスマスを一緒に過ごそうと思っていた相手は居た。
だが、しばらく前に「パスタを箸で食べるヤツなんか他の女にくれてやる」という捨台詞を置いて出ていった。
理解ってる。あれは俺が悪かった。
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