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俺にとってのXデーとなったその日の夜、やや遅くアパートに帰ると彼女がそこに居た。
「他の女の子の前だとちゃんとフォークを使ってパスタを食べるんだね」
飲んでいた彼女気に入りミルクとコーヒー1:1のカフェオレを置いて、第一声がそれだった。
すぐにレストランでの昼食シーンを目撃されていたのだと理解した。
が、なぜか言い逃れしようという気は起きなかった。
もしかしたら、彼女の大人しさに絶対の安心感を持ってたのかもしれない。
だが、それは買いかぶりだった事を知る。
言い訳する暇(いとま)も与えず、彼女の右手がひらめき俺の頬めがけて振り抜かれた。
平手打ち。…なんて可愛らしいものではない。
拳が派手に音を立てて皮膚に食い込んだ。
その細い腕のどこにそんな力があったのか、それは15cm以上も身長差のある俺をよろめかす程のものだった。
当然、当たった後も痛みは尾を引き、それにかまけてる間に彼女は例の台詞を吐き、出ていった。
よって、独りぼっちな俺。
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