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一人暮らしの男の部屋に食い物が待ってる訳もなく、なので俺は帰り道の途中にあるコンビニに立ち寄る。
こんな日は弁当もいつも以上に種類も残っているのだから精々迷えば良いモノの、結局普段からよく食べているカルボナーラを手に取りレジへ向かった。
「コチラ温めますか?」
「はい」
店員の言葉に反射的に応えてワンテンポ。俺は慌てて視線を上げた。
しばらく会って居ない、彼女がそこに居た。
俺は思った。「いい加減、このクセ治さなきゃ」。
彼女とは身長差があって、彼女と歩く時はいつも歩調を合わせるため足元を気にするようになっていた。
別れてからも、未練がましくそのクセを引きずっている。 自然と下へ行きがちな視線を今初めて悔やんだ。
いつもは何ともないこの待ち時間がやたらと気まずい。
もっと早く彼女だと気づいていたら、面倒くさがらず家のレンジで温めたさ。
いや、それ以前に違う店に行く。でもこの店のカルボナーラが好きなんだ俺は。ってか…彼女、ここで働いてたんだ…こんな日まで…。
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