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奇妙な感覚があった。
想像に難いが、まるで、自分が産まれたばかりの様な感覚が。
それを抱きながら、男はぼんやりと部屋を見渡す。
「…」
白い、苦痛を感じる程に真白い壁が男を包んでいる。
床や天井までもが白く、陰影の乏しい中では距離感がまるで掴めない。
「…」
灰色をした、僅かに隆起した何かを眼に留めたのはすぐだった。
目的も無いままふらふらとそれに近付くと、それからノブの様な物が伸びているのが解る。
「…とりあえず…」
誰とも無く小さく呟き、男はドアノブを握った。
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