4人が本棚に入れています
本棚に追加
足音すら湿っている様な錯覚が湧く。
足を動かしながら、男は何も考えない。
ここがどこなのか。
それすら、男は考えない。
狭くはなく、広くもない、薄暗い廊下。
日の光が射し込んでいる様子はなく、かと言って照明が据え付けられている訳でもない。
そこに気付けば異常とも言える明るさなのだが、男はまるで関心を払わない。
左右の壁を注視しながら歩く男だったが、行けども行けども眼に留まる物は無かった。
それでも男は歩く。
目的も思考も無く、ただなんとなく。
最初のコメントを投稿しよう!