step,1:小汚ない廊下

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足音すら湿っている様な錯覚が湧く。 足を動かしながら、男は何も考えない。 ここがどこなのか。 それすら、男は考えない。 狭くはなく、広くもない、薄暗い廊下。 日の光が射し込んでいる様子はなく、かと言って照明が据え付けられている訳でもない。 そこに気付けば異常とも言える明るさなのだが、男はまるで関心を払わない。 左右の壁を注視しながら歩く男だったが、行けども行けども眼に留まる物は無かった。 それでも男は歩く。 目的も思考も無く、ただなんとなく。
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