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殺風景な部屋と不快な廊下、今まで男が居た場所と比べると、扉の先は幾分色気付いた部屋だった。
造りの悪そうなテーブルと申し訳程度のソファー、灰を被った様な色調の壁紙。
ざっと視るだけでそれだけの物が部屋に在るのが解る。
そして、ソファーに腰掛けている人間も。
扉の開く音に反応したのか、ソファーの男が億劫気に振り返った。
痩せている男だった。
「…――の部屋から出たか。喋れる?」
ダルそうな声がソファーの男から投げ掛けられた。
「ああ、喋れる」
最初の部分が掠れて聞き取れなかったが、男は応えた。
「そうか…じゃあ着いて来てくれ」
そう言いながら、痩せた男はソファーから立ち上がった。
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