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「記憶は…あー…何か知識は有るか?」
黙って前を歩いていた痩せた男が、振り返らないまま言った。
「? いや、無いと思う」
不可解な質問にも関わらず、男は素直に応える。
「…流石に純粋だな。…当然だが、新鮮で、感動的で、気持ちが悪い」
痩せた男が小さく呟く。
後ろを歩く男には、その呟きは届かなかった。
「…ああ、そう言えば自己紹介もしてなかったっけ」
痩せた男は立ち止まり、振り返った。
「俺の名前はブラフマン。そんで、お前さんの名前はアートマンだ。解ったか?」
奇妙な、一方の言葉だけで完結した自己紹介。
「解った、ブラフマン」
それでも、アートマンと呼ばれた男は疑問を持つ事は無かった。
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