オルゴール

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  澄んだ声を響き渡らせ 沢山の歌を歌うあなたを 時折羨ましく思います 私の声はそのように 自由に歌うことができません   いつからでしょう、私は ひとつの歌にしがみつき 繰り返すしかないのです ひとつの歌を、延々と   遠い昔に、何かを 私は置いて来たのでしょうか この歌のほかの、全てを 丸ごと置いて来たのでしょうか それとも私はこの歌だけを 伝えたいと願ったのでしょうか たったひとつのこの歌だけを 伝えたいと願ったのでしょうか   もう私には解りません この歌しか残っていません ならば、せめて理由を その理由を知りたいために 私は歌いつづけるのです ひとつの歌を、延々と  
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