白い空間

2/2
前へ
/21ページ
次へ
そこは白い空間だった。   置いてある家具、自分が着ている服、全てが白い。 色があるとしたら自分自身ぐらいのものだ。   白で統一された空間… 歩こうと思えば、10歩程度で回れてしまう。 ここには必要最低限の調度品しかない。 ベッドとイスと机が1つずつ。   外を見るための窓も、気をまぎらわすための本も存在しない。 少女はイスに座って白い壁を見つめることしか出来なかった。   気の狂いそうなこの空間で、   “外へ出たい”   少女は願った。   “外に出て陽の光や風を感じたい”   けれど少女は知っていた。 そう願うのと同時に、それを望まない自分がいる事を…   “出られなくてもいい、どうか世界が平和でありますように”     少女は願い続ける。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加