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『…ついた……か?…』
少年は息荒く、こめかみから汗を滴らせながらも、目の前に建つ白い巨塔を見上げた。
あれから3日、変わらない風景にうんざりしながらも、前へと歩き続け、ようやく少年は目的地らしい所へたどり着いたのだった。
『さぁて、どっかで話でも聞いて、ついでに一休みして登るか。』
少年は前へ広がる村へと視線を向けた。
と、奥から人があたふたと、こちらへ走ってくるのが見えた。
『なんだ…?』
その人物は白髪の老人だった。古風というかなんというか、白を基調とした質素な服を身にまとっている。駆け寄るなり、少年の両手をギュウッと握ってきた。
『あの結界を抜けてこられたのですか!』
突然のことに少年は面食らった。
『はっ? えっ?』
『さあさ、話は中でお願いしますじゃ。
あ、私はこの里の長老を務めておる者ですじゃ。』
長老はぐいぐいと少年を引っ張っていく。
そして、強引に自分の家へと押し込んだのだった。
『…てっ!』
ドンッと背中を押され、文字通り押し込まれた少年は、顔をさすりながら立ち上がった。
『何する…』
少年は口をつぐんだ。
長老の眼孔がするどく光ったからだ。
『そこに座って下され…』
少年は黙って手でしめされた場所。
囲炉裏の反対側に座った。
『まず、どうやってこの里にたどり着いたのか、教えていただけますかのぅ?』
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