43人が本棚に入れています
本棚に追加
「で…どこへ行くんだ?」
「古井戸だよ、三笠トンネルの辺りにあるだろ?」
俺は拓也の質問に答え、ナビで現在の位置を確認した。
もうすぐ目的地に着きそうだ。
どこへ行くのか決めるのは大抵いつも俺だった。知り合いやネットで情報を集め、身近なスポットだけ周っていた。
「ねーねー、その古井戸にはどんな話があるの?」
「それ俺も思った!翔太、どんな話があるんだ?」
二人は期待のまなざしでコチラを見ているけど…実際たいした話じゃなかった。
「…その古井戸に石を投げると中から「いてっ!」って聞こえるんだってさ。」
「………………え?」
「そ、それだけなのか?」
ホラ、言わんこっちゃない。予想通りの反応だ…
「仕方ないだろ?周りすぎて身近なスポットはそろそろ尽きてきたし…こんなネタぐらいでしか見つからないんだよ。」
「まぁ…そうよね、だいぶ周ったもんね。」
「たしかに、ま…古井戸なんだし…もう暗いし、雰囲気ぐらいはあるだろ♪」
など話している間に、俺達は目的地に到着した。
最初のコメントを投稿しよう!