井戸ノ底【前編】

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「うわ…暗すぎだろ…翔太~!車のライトこっちに向けてくれ。」   「あぁ、りょーかい。」   先に降りた夏美と拓也…そして古井戸にライトを向け、俺も車を降りた。   「な~んにも見えないね。」   「底あんのか?コレ…」   二人は井戸を覗き込んでいる、俺も手の平サイズの石を拾って井戸に近付いた。 そして…   「おらッ!!」   それを古井戸の中へ勢いよく投げ込んだ。   「……………………………。」   「……………………………。」   「………何も聞こえないね。」     …石が小さすぎたか?と思った俺は先程より大きな…片手では持てない大きめの石を両手で掴み…     思い切り井戸へ投げ入れた。     「……………………………。」   「……………………………。」   「…やっぱり聞こえないね。」     かなり深いな…多分。   「ちぇ、つまんねーの!もう遅いし帰ろうぜ、夏美、翔太。」   「あっ、ホントだ!私あしたバイトなんだよね…そろそろ帰らなきゃ。」   「そうだな、もうすぐ0時だし…帰るか。」       今回も何もなかったな…そう思いつつ車に戻り、まずは拓也を送るために彼の自宅へと走り出した。
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