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怪物なんていない
そんなものは始めからいなかったんだよ
いつも父さんはボクに言っていた
父さんの言葉の優しい響きを、確かにボクは覚えてる
でもね、父さん……
怪物はいたんだよ
気の遠くなるような時代に
怪物の国を築いていたんだよ
絵本にしか出てこなかった
たくさんの腕をもったクラーケン
大きなサソリの姿をしたバケモノたち
みんな石になっちゃったけど…
大昔のボクらを食べていたんだよ
クラーケンに絡み取られ
粉々に噛み砕かれた
サソリたちには引き裂かれ
ときには毒でジワジワと殺された
戦うことを知らなかったボクらは
逃げ惑うしかできなかった
だけど、ボクらは生き残った
どうしてだろう?
弱々しい小さな魚の姿をしたボクらは生き延びて
怪物たちは滅んでいった
ボクらには怪物に立ち向かう
何か不思議なチカラがあったのだろうか?
ボクの問いに……
父さんは静かに微笑んで答えた
大昔のボクらも戦っていたんだと
どんなに怪物が強くても
小さい体に生まれついた
生きていくチカラを信じて…
怪物はクラーケンやサソリだけじゃない
愛する人を奪う全てのモノ
ボクは戦う!
幾億年前から受け継いだ
生きていく強さが
今、ボクの胸に甦る!
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