虚無の彼方に消ゆ

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虚無の彼方に消ゆ

  何もない   今日も昨日もその前の日も 何もない 空は只々どこまでも 澄みきった青 音をなくした 見慣れた通りに 懐かしさだけが 浮かんでいる でも何もない それだけ 時雨に打たれて 少し濡れた夕   両の肩の上に 陽と月をのせれば それもまた虚無 黄昏に泣いてみせた いつかの自分 その姿だけが 目に映るだけで 何もない ここで明日には 何かあるのかと問うなら それはもう興ざめ 明日には何かあるかもしれないと 言った今日の自分が 昨日の自分になってしまえば 明日の自分に何もないと 言われてしまうだけ つまらぬ それが虚無だと 茶化すように夢を見る 気休め それ故の痛み 何もない 今日から作れる明日は 歪な形だけ それを この手で触れることは いつになればできるやら やるせない期待に 不意をつかれて 少し笑ってみる 何もないと ただそれだけを 笑ってみる 期待外れの明日に住む自分への 感謝の気持ちも込めて 遠い先の何処かで待つ自分へ 貴方の今日には何かありましたか  
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