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  夏の日 炎天下 蝉は鳴くに耳障りと 嫌うが 夏の終わりほど そのやかましさを 恋しく思うことはない 胸のざわめきに 不思議と解け合う あの心地 煩いなど思うは 暑さとの不響和音 仮に真冬に聞けば それまた美し ただ 白銀には似合わぬ 夏の耳障りも その命の短さ故の事 生きている証明を ただ知って欲しかっただけ 思春期独特の アイデンティティと相似 存在意義をかけた生命力 ならば認めよう 短命の美しさに免じて 耳障り 時雨に消ゆは 蛻か
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