蝶々

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ある日の昼下がり、一匹の漆黒の羽をもつアゲハ蝶がひらひらと空を舞う―― 【スワロウテイル】 ここは真っ昼間の公園。 川沿いの堤防に沿った細長い敷地の、緑の芝生の上に、ブランコ、すべり台、鉄棒、砂場が設置されてある。 隣にはサッカーの出来るグラウンドがあるが、まだ人影はない。 時間は午後二時。 こんな時間に本来ならここにいるべきではない中学生くらいの少年がブランコに腰かけている。 彼の名は、黒澤 蝶。中学三年生。黒澤不動産社長、黒澤 絃の5人息子の末っ子である。 蝶は普段学校をさぼったりなどしない。なぜ、ここにいるか、というとその理由は 『失恋』――――
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