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「たっだいま~」
「ただいま」
「お帰り」
二匹が帰ってくると煙草を吸いながら玄関に佇む攸が出迎えた。
珊は珀と一緒に厨房へいくと、冷蔵庫にポイポイと買ったものを詰め込んでいる。珀はエプロンを着用すると、野菜の皮を剥き手慣れた手つきで調理を開始した。
「さーて僕は風呂の火でも炊いてくるよ~」
そう言い残すと刪はそそくさと厨房を後にした。無論手伝うのが面倒だからである。
「おいちょっま…ったく」
まあいいかと呆れ顔をし、調理を再開するのであった。
珀と珊がドタバタしている中、客こと春は風呂場を探していた。
「案内板すらないんだけど…」
結構うろついているのだが一向に風呂場へと辿り着けない。というか同じ場所を何度もぐるぐる回って狐につままれているような感覚にすら陥り始めているようであった。
「また元の場所にもどっちゃった」
その時である、軽快に不快な内容の歌を口ずさみながら例の置き去り犯がこちらに向かって歩いてきた。
「も~やせ~炎を~♪つ~ぶせ~怪人~♪ぶっ刺せぶっ刺せ~血~をな~が~せ~♪レッツゴーいけいけチキンナイフマーン」
最近テレビで放送している人気番組の歌のようである。
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