7人が本棚に入れています
本棚に追加
場面は変わり縁側の所に座りお茶を啜る者がいる。彼はここの正規従業員であり基本事務や雑用をこなしている、何故か舞台等にいる黒子のような衣装を着ていて本名も不詳なのだが。
「いや~今日もいい天気ですね~」
「黒子君な~にしてんのっ?」
「珊さん?!」
名前が解らないので皆からは黒子と呼ばれている彼はペタペタと足音をたてながら近づいてきた刪の方へと振り向き、面倒なのに捕まったなぁという顔をした。まあ布で顔は見えないが。
「ところで僕のお饅頭知らない?さっき台所で黒子君見たって聞いたから聞いてみたんだけど」
刪はにっこりしながら黒子の頭を両手でガシッと掴んだ。
「私は知りませんね~」
黒子はそう言いながらおもむろに懐から饅頭を取り出すとモグモグと食べ始めた。
「ねえねえ、何食べてるの?」
「刪さんの饅頭ですよ」
黒子はそう答えるや否や、両手を振りほどき猛ダッシュで駆け抜けていった。その間なんと5秒である。
刪は一瞬呆気にとられたが、我に返ると急いで黒子を追いかけた。
しかし一瞬の間が災いしたのか見失ってしまったようである。
場面は変わり、玄関付近で掃除をしている珀が居る。黒子を追いかけていた刪は珀にこっちへ来ていないかと問い質した。
最初のコメントを投稿しよう!