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「朝まで寝てる気かあんた」
「冗談だ、気のきかない黒猫め」
攸は寝起きのせいか口から本音がでたようだ。
「引っ掻くぞ?引っ掻いて某剣士みたいな傷跡付けて語尾にゴザルとかつけさせるぞ」
珀は両手から爪を出すと、喧嘩中の猫のような形相で睨み付けた。
「はいはい解った解った、さて取り敢えず飯にでも」
「お前は飯が優先か!おい珊っ!起きろ」
「んぁ~?」
「ん?誰か来るな」
そう言いながら攸は立ち上がり、珊の襟と珀の襟を掴みヒョイっと持ち上げるとそのまま廊下へ出て歩き始めた。
「なにこれ捕まったな子猫ですかコノヤロー」
「この体勢久々だね~」
二匹がニャーニャー騒いでいたその時である、外の入口のドアが開いた。
「すいませ~ん」
「あっは~い」
攸は珀を下に下ろすと、珀はそのままお客のところにトコトコ歩いていく。
「予約とか入れてないんですけど良いですか?」
「大丈夫ですよ」
「じゃあ失礼しまーす」
「客とは珍しいな」
攸は訝しげにそう呟くと「いやここ旅館だから!客珍しいってまぁ確かに珍しいけどね!」と珀のツッコミが飛んできた。
「で、あんた部屋こっちな」
「客には敬語」
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