第一章 二人の僕

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 この本の中には、言葉にするにはあまりにつらいこともあるし、また気楽には読めないような話もある。最初にお願いしたいのだが、まず英雄とか奇跡といった考えは脇置いておいて欲しい。なぜなら僕はおとぎ話の主人公ではないからだ。ここはディズニーランドやハリウッドでもない。  一つ例を挙げよう。ある記事の中で、僕がフランスの丘や山々を「飛ぶように上っていった」という表現があった。でも丘を「飛ぶようのぼる」ことなどできない。僕にできることは「ゆったりと苦しみながらも、ひたすらペダルをこぎ続け、あらゆる努力を惜しまず上っていく」ことだけだ。そうすれば、もしかしたら最初に頂上にたどり着けるかもしれないのだ。
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