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『…!…マ!ママ!』 揺さ振られる体に、耳に届く大きな声に。 ハッと目を開けた。 体に滲む嫌な汗。 張りつくトレーナー。 心配そうに手を握っていてくれた小さな頭を撫でた。 いつからだろう。 歩き始めてから? 話すようになってから? もう覚えていないけれど。 目覚めた時の淋しさはなくなった。 部屋を出ると洗面台から流れる水の音。 お願いしなくても、言わなくても。 優介の日課になってしまった“ママ起こし” 毎朝うなされている事を 優介はどう受けとめているのだろうか? 友達の家にいて 家にはいない“パパ”の存在をどう思っているのだろうか? “優介のパパは?”と聞かれない事に 甘えていないだろうか?
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