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「言い訳無用。後でキッチリ……何、その鏡」
龍はまた本日二度目の後悔をした。
何で自分は早くしまわなかったんだこの鏡を…!
内心一人で悶絶している龍を見て、死神は形勢逆転とばかりに流暢に語り出した。
「早苗、聞いて驚け!龍のやつ、俺の兄さん脅して三途の川の水鏡作ってもらった挙げ句のその使い道!もっぱら飛鳥サンの私生活覗きに使ってる!」
「人の話を勝手に変えるな!」
反射的に怒鳴る。
しかしそれは逆効果だったようで、更に早苗に冷たい目を向けられた。
「下手なストーカーより質悪いよ、龍」
「だから違…!」
弁明の余地がないだけに、龍は更に慌てる。
突然、叫びにも似た泣声が、手元から聞こえた。
否、『鏡から』聞こえた。
「飛、鳥…?」
龍の呟きに弾かれたようにして、申し合わせたように三人は水鏡を覗き込んだ。
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