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放課後の三階の教室で、竹内美晴はため息をついた。
窓際にもたれた彼女の視線の先には、校門に向かって歩く三人の男女の姿がある。
教室に残っていた他の女生徒たちが、何事かと彼女のそばに集まってくる。
中学三年生の少女たちは、恋愛がらみの事柄には、異様なほど嗅覚が働く。
窓辺に鈴なりになった少女のひとりが言った。
「ほんと、あの三人は絵になるよねえ」
彼女たちの視線の先にいるのは、一卵性双生児の霧生蒼馬と静馬、そしてふたりの間を歩く、蘇芳悠姫である。
「まるっきり、お姫様とそれを護る騎士だよね」
他の少女が補足する。
「そのまま映画にでも出てきそうな美男美女だもんね」
さらに別の少女が付け足す。
「うるさいな、わかってるってば」
美晴はむくれた調子で言った。
クラスの中で、悠姫と親しいと言える唯一の生徒である美晴だが、今ではもう、悠姫に対する嫉妬ややっかみを超え、何かを悟ったような口調になってしまう。
あまりに自分より高い次元にいるものを前にすると、人間は戦意を喪失するということを、美晴は悠姫と親しくなって知った。
悠姫はアメリカ人の父と日本人の母を持つハーフで、テレビや雑誌で見かける「美少女」より、はるかに美しかった。
メイクやカメラの腕に頼るまでもない。
日米のDNAが生み出した奇跡だと、美晴は思っている。
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