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「しかし悠姫って性格もいいんだよね。ふつうあれだけ条件そろってれば絶対女子の反感買うだろうに、あの子の悪口って誰も言わないもん」 完全降伏のポーズでひとりが言った。 遠ざかっていく悠姫の髪が、明るい日差しを受けて金色に煌めいた。 悠姫の髪は栗色っぽく、ゆるい天然パーマがかかっていて、光のかげんで金髪に見えたり赤毛に見えたりする。 本人は日本人らしいストレートの黒髪に憧れているらしかったが、他の少女たちからすれば、あの並外れた美貌を縁取る、ゆるやかに波打つ髪を見ただけで、ああ勝てっこない、という気分にさせられる。 「で、美晴はどっちが好きなんだっけ」 「どっちだっていいでしょ。ふたりとも悠姫しか眼中にないもん」 美晴は応え、もう一度深いため息を落とした。
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