『始まりは』

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私以外の、別の人間の声がした。 「?」 私は、後方を振り向いた。 教室の入口に、早瀬君が立っていた。 「・・・あー」 早瀬君は、私の姿を認めてから、頭をポリポリと掻く。 「・・・・・・」 「・・・・・・」 私と彼は、互いの顔を見合わせたまま。 沈黙。 が。 先に口を開いたのは、早瀬君だった。 「もしかして・・・教室、閉める?」 早瀬君が聞いた。 私は頷いた。 「うん。・・・もうすぐで、下校時刻になるし」 「・・・じゃーさ」 早瀬君は自分の席に鞄を置き、腰を降ろす。 「教室が閉まるまで、俺、ここにいるから」 それだけ言って。 今にも、椅子からずり落ちそうな、だらしない姿勢で座り込み、目を閉じる。 「・・・・・」 帰らないのかな・・・と、私は考えていたが、戸締まりの続きを行った。
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