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"何でだ?"とか聞かれちゃうのかな。
どうやって答えよう…"実は病気がちなんです""太陽の光が苦手なんです"。
いやいや、今思いっきり太陽の下で元気良く泳いでたよ…。
むぅ、と悩んでいると放たれた言葉は予想外のものだった。
「まぁ、人それぞれ"事情"ってもんもあるしな」
片手でボールを上に高く投げて落ちたところを掴む。
その時の、彼の瞳が、とても。
とても。
「俺は後2日間だけ此処にいる、また明日も来いよ」
「え…?」
「此処で、待ってる」
にっと綺麗な笑顔で笑って、走り去って行く。
その、綺麗な二本の足で地面を蹴って、走り去って行く。
私にはない、その足で…。
もっと
もっとあの"人間"の事が知りたい。
もっと"魁斗君"と話がしてみたい。
もっと…。
自分の下半身に目をやる。
地上では、動き回れないこの身体…。
どうしたら彼ともっと近くにいれる?
どうしたらもっと一緒に遊べる?
私にも、足があったら…。
"また明日も来いよ"
人間と初めて会った今日この日を
私は一生忘れないだろう
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