退屈な日常

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そして最後 私の番だ 私の自己紹介はいつも最後 それは合コンの女王である愛華の作戦だ。 「私は、心理学部の夜吹ルナ」 簡単に学部と名前を告げると、予想通りの答えが返ってくる。 「えっ!?心理学部なの? うちの心理学部って怪しげな実験してるって噂だけど…。 やっぱ心理学やってると人の心とか読めちゃうの?」 そう聞いてきたのは田中。 「てか名前変わってるよねぇ。 ルナってどーゆー漢字書くの?カタカナでルナちゃん?」 いかにも合コン慣れした聞き方をしてきたのは館山。 これは、いつも合コンに行けば必ず聞かれる定番の質問だ。 名前を名乗れば「変わっている」と言われ、心理学を専攻してるといえば「心が読めるのか?」と聞かれる。 これはいつも聞かれる質問たち。 私としてはいい加減飽き飽きする。 しかし、合コンの席では私の名前や学部が話を盛り上げるきっかけとなる。 だからこれは愛華の作戦なのだ。 私の自己紹介を最後にして話を盛り上げる。 いかにも愛華の考えそうなことだ。 だから私は内心飽き飽きしながらも、場の雰囲気を壊さないように笑顔で質問に答えていく。 「ルナってゆーのは当て字で、《月 ツキ》って書いてルナって読ませるの。 それに、心理学やってるからって心理学やってる人がみんな心が読めたら大変でしょ? 私は人の心なんて読めないよ」 するとすかさず愛華がある提案をする。 「ねぇねぇアレやってよアレ!」 「アレって何?何?俺等にも分かるよーに教えてよ!」 そう食い付いてきたのはビールジョッキを手に持ったままの田中。
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