退屈な日常

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それに答えるのは謎の提案をした張本人。 可愛らしく飾ったネイルがカクテルグラスによく映える愛華だ。 「ルナはね、相手の血液型を当てることが出来るの! ねぇルナ、田中くんを相手にみんなに試しに見せてあげてよ!」 そう 愛華が言っていた「アレ」とはこのこと。 簡単に言えば、私に手品(相手の血液型を読み当てる)を見せろということ。 普通の女の子なら初対面の相手の血液型を当てるなど出来ないだろう。 でも 私にはそれが出来る。 どんな魔術を使ってるのか どんな力を持っているのか みんなは不思議に思うだろう。 でも、それはごく簡単なことをしているだけ。 どうやって私が相手の血液型を当てているのか。 それでは皆様に 私の手品の全てをお教えしましょう。 「じゃあ田中くん。私の手の上に片方の手を乗せてくれる?」 私はテーブルを挟んで目の前に座る田中に手を差し出した。 田中は「こう?」と少し照れた様子でそう言うと、私の手の上に自分の手を乗せてきた。 私は空いていたもう片方の手を田中の手の上に乗せ、田中の手をそっと優しく包むように握った。 「何だかドキドキするなぁ…」 女にこんな風に手を握られたことが無いのだろうか それともこれから何が始まるのか、興味を惹かれた皆が一斉に自身に注目しだしたからだろうか 田中は顔が薄ら赤くなっている。 私はそんなことは気にせずに、田中に視線を向けたまま次の暗示を掛ける。 「じゃあ田中くん。 私の目を見てくれる?」 田中はそんな私の言葉に、ますます顔を赤らめ慌てる。 「えっ!?目を? 俺…そんなにじっと見られると…何か恥ずかしい…」 田中が照れてなかなか私の目を見ようとしないでいると、すかさず愛華が田中に喝を入れる。 「恥ずかしがらずにルナの言う通りにする!!」 愛華に言われ、やっと私に視線を合わせた田中。 そんな田中に笑顔をにっこり返しつつも、私は着々田中に暗示をかけていく。 「じゃあ田中くん。 これから私が質問することに全て『いいえ』で答えてね」  「全て『NO』で答えるってこと?」 少しきょとんとしながら問う田中に、笑顔を崩さず続けてもう一つ暗示をかける。 「そう。 必ず私の目を見て答えてね」 「目を見てね。わ、分かったよ」 さらに顔を赤くしながらも私の指示に従う意志を示した田中。 これですべて、準備は完了だ。
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