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いよいよ私の手品の始まりだ。
私は田中の手は握ったまま、
視線は田中の眼から外さずいくつかの質問をしていく。
「じゃあ田中くん。
あなたは血液型性格分類を信じますか?」
「いいえ」
「あなたはA型ですか?」
「いいえ」
「あなたはB型ですか?」
「いいえ」
「あなたはO型ですか?」
「いいえ」
「あなたはAB型ですか?」
「いいえ」
「あなたは几帳面だと言われますか?」
「いいえ」
「あなたは自分勝手だと言われますか?」
「いいえ」
「あなたは大雑把だと言われますか?」
「いいえ」
「あなたは二重人格だと言われますか?」
「いいえ」
「最後に。
あなたはA型ですね?」
「いいえ!」
最後の質問に対し少し声を強めて返した田中。
私は今まで握っていた彼の手を解放し、結果を告げる。
「もう本当のこと言っても良いよ
田中くんA型でしょ?」
すると、興奮したようにテーブルに前のめりになり田中が聞いてきた。
「ルナちゃんすごいよ!
何でオレがA型だって分かったの!?」
それに対し、さも自分の手柄かのように得意げに応えるのは愛華だ。
「だから言ったでしょ~。
ルナは血液型を当てられるって」そんな愛華を横目に合コン常連組のめぐみが、私に不思議そうに聞いてくる。
「いつも思うんだけどさぁ~。
これってどーゆー原理なわけ?
どーして『いいえ』で答えるだけで相手の血液型が分かるのよ?」
そんな盛り上がる私達に水を差す一言。
「でもさぁ、今のまぐれじゃないの?」
空気を読まないその発言の主は、いかにもな黒縁眼鏡をかけた男。
確かさっきは大塚とか名乗っていたっけ。
「まぐれじゃないか」と私を疑う言葉。
これも私にとってはいつものことだ。
だから、そんな言葉も私は軽く受け流す術を知っている。
私に疑いの目を向ける大塚に対し、私は適当に相鎚をうとうと口を開いた。
が、
それは愛華によって無駄な行為になってしまった。
「まぐれなんかじゃないよ!ルナは本当に血液型を当てれるんだから!
いーわ。次は大塚くんの血液型を当ててみせるから!!
ね、ルナ!」
さも自分のことを疑われたかのように熱くなる愛華。
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