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…頭痛を抑えるために眉ねに皺を寄せるとそれを揉みほぐすようにして指を動かす。手には隊長に手渡す為の書類。早めに済まして次の仕事に移らなければならない。隊長室の前でピタリと止まると一角は大きく深呼吸をした。 疲れた自分に鞭を打つように唱える。 [俺が…頑張んなきゃ…] 戸に手をかけ「ガラ」と開けた。 「失礼します」 隊長の更木剣八は頬杖をついたまま顎で机の上を指した。ここに置け。という事だろう。「はい」返事をすると一角はいつもと違う隊長の姿を見て心が苦しくなるのを感じた。      [隊長、髪も…結ってねえ] 「……。」 一人、真剣に考えこんでいる一角を、不意に剣八が呼ぶ。 「おい」 「!」「はっはい…」 突然の呼びかけにビクリと体が飛び上がった。「なんすか?」精一杯の笑顔で剣八の元に歩み寄る。と、その時!! 「ガッシイィ」一角の胸倉を力いっぱい剣八が掴んだ。 「え?」 突然の出来事に状況整理のできていない笑顔のままの一角を剣八は軽々と後ろに投げ飛ばす。 「ドガァン!!」派手な音をたてて襖を破り一角は隣の部屋まで飛んだ。 「ッ…!!何すんすかあ!!!」 勢いよく顔を上げると…「!!!」 そこには、何故か…剣八の顔があった。 実際、かなりの至近距離だ。一角はこんなに近くで剣八の顔を見るのは初めてだった。ゴクリと息をのむ。「隊…長」少しづつ近付いて来る剣八の唇。 近付くごとにドクドクと激しく高鳴る胸。 頭がくらくらして一角はクラッシュ寸前だった。 とその瞬間、 「眠ぃ…(ρд-)zZZ」 ボソリと呟いて剣八が一角の肩に倒れた。 「へ??」予定外の状況にまたもやア然とする。 「あああの…隊長…?」 剣八はスヤスヤと寝息をたてている。 「………。」 とりあえず膝に頭を乗せてみた。これは…俗にいう…膝枕の体勢だろうか。そんな考えが頭に浮かぶ。が、すぐに剣八の顔を見て気付いた。
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