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「――今日もお前が一番か」
ざりざりと靴の音をさせて誰かの声が聞こえる。
「おう潤! 今日って調整やろ?」
後ろから声をかけて来たのは、俺と同じ学年の結城潤(ゆうき じゅん)。
あいつと俺は一応このチーム唯一の二年レギュラー。
潤は六番ショートというポジションで、その捕球力はセンスの塊やった。
「まぁなー。まだ皆着替えてるから、俺らでアップしようぜ?」
「おう」
俺はそう言って潤とキャッチボールを始める。
前の日に整備されたグランドには入らないように横でボールを投げ合う。
すると俺たちの姿を見た一年生が焦ってこちらに走って来た。
「「ちわーす!!」」
何人もの少年たちが帽子を取って頭を下げる。
「おっす!」
俺らはそう言いながら挨拶を返した。
「今日グランド使うか聞いとるか?」
「はい。ノック練習を軽めにするらしいッス」
一年生の一人がそう言う。
「じゃあ塁出しとって」
潤がそう言うと素直に一年生は返事をして何人かと部室に向かう。
俺はバットとグローブは並べておいたが、グランドを使用するか分からなかったので塁までは出さなかった。
そんな考えも程々にして俺は潤とのキャッチボールに集中する。
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