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あまりに非現実な状況に悲鳴も出せない。
だってあいつ、さっきまで告白されるって浮かれていたんだぞ?
それにあの制服、うちの女子の制服じゃねーか。
それにあいつ…………
人を喰ってるじゃねーか………
「うっ………!?」
光は寸前で吐き気を押さえ込んだ。
人の死体なんてドラマなんかで腐るほど出ている。
しかし本物の死体を、それも腹を引き裂かれた人間を見る人などこの世界に何人いるだろうか。
寛介を食べているのは滋野川 砂羅(しのかわ さら)というクラスメートで黒髪を腰まで伸ばした女の子でクラスでも人気があり光とは違って優等生である。
しかし、口や服を返り血で真赤に染めた姿は光の知っている砂羅では無かった。
それはまるで、砂羅と同じ顔をした化物だった。
「あっ……ああ……。」
光はその場から逃げ出した。
真っ直ぐで平坦な道なのに足がもつれて何度も転びそうになった。
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