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どちらが現実か頭を悩ます。
まぁ考えてわからないなら行動するだけだ。
いつの間にか樹木の合間を縫うように木漏れ日がさざないでいた。
自然と足は遅くなる。
森で銃声となると猟師の可能性は高いが、なんせ訳の分からない場所。状況で楽観的になれるほど脳天気じゃない。
そんな考えを遮(サエギ)るように僅かに何かの雑音が耳を霞(カス)めた。
後方からもう一つ別の足音が近付いて来ている。
待ち伏せ!?
振り返った先は漆黒(シッコク)の闇。
その先から近付く足音に危地(キチ)を感じ、素早く木陰に身を潜(ヒソ)めた。
二足歩行で走って来るシルエットが僅(ワズ)かに見て取れる。
それは人間のものとはかけ離れトカゲ・・・・・・いや恐竜のようにも見える。
羽が生えたような軽快(ケイカイ)さでこちらに向かってくる怪物。
捕食者(ホショクシャ)としての殺気をみなぎらせるそれに、訳もわからず走り出す。
一瞬覗いた相貌(ソウボウ)は凶悪で、その首筋には襟巻(エリマ)きトカゲのような傘を生やした見た事のない異形(イギョウ)の生きものだった。
いったいなんなんだ。
本能的に森の出口、光の差す場所に走り込んだ。
とっ突然、横の茂みからのびた手に腕を掴まれ前のめりに倒れそうになり停止する。
「止まれ」
低い抑揚(ヨクヨウ)のない男の声。
目の前に冷たく光沢を放つ刀が突き付けられていた。
反対側には眼帯をした華奢な体躯の少女が、対戦車ライフルを構えている。
猛獣以上の歓迎ぶりだ。
俺は目の前あった少女に視線で後ろを示した。
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