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少女は油断なく後ろを見る。
「き、恭介!?」
「ん? また爬虫類かよ」
「紗耶香。そいつ捕まえていろ」
そう言い残しトカゲの方へ走り出す男。
「ごめんなさいね」
紗耶香と呼ばれた娘は、唐突に俺の腕を後ろてにしばりあげる。
いっ!
尋常でない痛みにたまらず押し倒された。
なんだこいつら!?
痛み以上に小娘に縛りあげられた事に内心怒りが込み上げる。
少女の細い腰で怪しく黒光りする拳銃が見えた。
まっとうな輩でないな。
拳銃を奪って逃げるか。
そんな事を考えているとつれの男が帰って来た。
「やっぱり女か」
女?この娘の事か?
話しがいまいち掴めない。
「依頼人、吉岡勝也は男だから違うな」
男の口から思いがけない人物の名前があがる。
吉岡カンパニーの社長で俺の伯父にあたる人物。
「現地の人かしら?」
バズーカー娘が呟いた。
「悪いけど人違いなら手を放してくれないか」
俺は腕をねじられたまま強引に立ち上がった。
娘はすぐに手を緩めたものの、それより一瞬速く立ち上がったため肩を脱臼する。
痛っつ!
「大丈夫?」
娘がそう言いかけた一瞬、素早く少女の腰の銃を奪っていた。
「なっとく出来るよをに説明してもらおうか」
俺はにっこり恨みのこもった笑みを浮かべた。
「これからのお互いの為にも納得できる解答を願うよ」
軽く拳銃のセーフティーを外す。
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