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動悸(ドウキ)を抑え口を開く。
「君達がただ者じゃないというのは分かったよ」
降参するように銃のトリガーに指を引っかけ一回転させると差し出した。
「ところでその依頼人俺の伯父みたいなんだけど」
顔を見合せる二人。
「その、まずいんじゃないかな」
意地悪く笑う。
「依頼されたの俺の事じゃない」
白刃をチラつかせた男は不思議そうにこちらをうかがう。
「依頼された相手は男だ」
少女に銃を手渡しながら俺は独白した。
「だから俺が春輝なんだけど」
そう言えばやたら話が噛み合わない。
もちろん俺は生物学的に言ってオスだ。
「依頼された相手に刀を向けるのはまずくないの?」
もう一度言ってみた。
「春輝って?」
少女は何も知らされてないのか、不思議そうに連れの男に尋ねる。
「依頼人の甥だよ。そいつの人格を取り戻せって依頼だったんだ」
「甥って事は・・・男でしょ?」
そこまで言って不思議そうにこちらを伺う。
「人格ってどういう事?」
「甥がいきなり女性に変わったんだと。 調べたら人格が女と入れ代わって・・・」
そこまで言ってハッとこちらを見る男。
「まさか、お前が春輝か?」
「そう言ってるだろ」
隣でたたずむ少女も、ようやく理解したらしい表情をつくる。
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